就職活動ってどこから手をつけるのか、どう進めていけばいいのか分からない。ネットに溢れた情報よりも、同じムサビの先輩のリアルな話が役に立つはず。就活を経て進路を切り拓いた先輩に、これまでの道のりや大変だったこと、やっておけばよかったことなどを聞きました。
<センパイデータ>
名前:本多 恵
学科:工芸工業デザイン学科/2020年入学
内定先:独立行政法人国立印刷局
——まずは本多さんがどれくらいの時期に就職活動を始めたのか教えてください。
本多 恵さん(以下、本多):私は姉が就活する姿を見ていたので、自分の就活については3年生の夏くらいから意識し始めていました。本格的に始めたのは10月くらいです。
——作家活動や進学ではなく、企業に就職するということは最初から決めていましたか?
本多:はい。私の家族には美大出身者などはいなくて、とても一般的な家庭でみんな安定志向なんです。私自身も作家や進学ではなく、就職するという道がいちばんしっくりきました。
——就活ではまずなにから始めましたか?
本多:まずインターンに参加しました。姉から「長期インターンは絶対に参加したほうがいい」と言われていたので、「Wantedly」という求人情報アプリでインターンを探すところから始めました。
——インターンに参加してみていかがでしたか?
本多:すごくよかったです。大学ではデザインの勉強をしていますが、仕事として誰かの依頼に応えるために、どういうプロセスを踏んでいくかを初めて学ぶことができ、とてもいい経験になりました。
——志望する業種や職種、企業はどのように絞り込んでいったのでしょうか。
本多:私はずっと文房具系の仕事に就きたいと思っていたので、主に文房具のデザイン職や総合職を受けていました。ただ、結局絞り込めず、おもちゃ系やIT系など、文房具以外の企業もたくさん受けていて。ただ、絞り込まなかったからこそ内定先に出会えたと言えるかもしれません。
——就活全体でいちばん大変だったことはなんでしょうか。
本多:私は最終的に30社くらい受けたと思いますが、一次面接で落ちまくったことです。4年生の5、6月くらいで、すごくメンタルがやられて大変でした。
——就活を進めるうえで、誰にどのようなことを相談していましたか?
本多:家族とキャリアセンターの方に相談していました。家族には募集要項の見方を教えてもらい、募集要項にある条件などから見た志望先の相談をしていました。キャリアセンターの方には、就活の中盤くらいからあらためて自己分析について教えてもらったりしました。実際にキャリアセンターに行って相談することもあれば、メールでのやり取りも頻繁にしていただいていました。面接練習はオンラインも対面も、どちらもやっていただきました。
本当は先輩にも話を聞けたらよかったのですが、大学生活の中で縦のつながりをつくってこなかったので、それはとても後悔した点です。
——ポートフォリオはどれくらいの時期から準備しましたか?
本多:就活を始めた3年生の10月くらいからつくり始めて6月までかかりました。ポートフォリオをつくるということが、私にはとてもハードルが高かったので、まず、とりあえず写真に文章をつけたものをキャリアセンターの方に見せるところから始めました。そこでアドバイスをいただいたり、ポートフォリオが閲覧できる「ViViViT」で先輩方のつくったものを見て勉強したりしていました。
——ポートフォリオはどのようにまとめて、どのような使い方をしましたか?
本多:基本的にはIT系とそれ以外、というわけ方でベースをつくり、IT系の企業であればデジタルの作品、パッケージ系の企業であればパターンデザインなど、メインにするものを巻頭に持ってくるようにつくりました。私は手仕事の作品も多かったので、文房具系の企業ではそういったプロダクトをメインにしていました。
実際にはほとんどデータでの提出で、デザイン系の企業では基本的に提出を求められたと思います。
——就活で早めに取り組んでおけばよかったことはありますか?
本多:ポートフォリオは、早くつくり始めたほうがよかったと思いました。私は3年生の10月につくり始めて、1月の早期選考に自信がないまま提出することになってしまいましたし、プレゼンもぶっつけ本番になってしまいました。つくるのももちろんですが、ポートフォリオのプレゼン練習も含め、早めに取り組んだほうがよかったと思っています。
——内定先の独立行政法人国立印刷局は、もともと志望していた文房具系のデザインとはイメージが違うと思いますが、どのようにして見つけたのでしょうか。
本多:最初は、大学で国立印刷局の特別講義があることをムサビ進路ナビで知り、その後教授でも教えていただきました。同時に募集要項なども拝見し、そのときは受けるつもりはあったもののまだ志望度は高くない状況でしたが、特別講義に参加したり、学内で行われた展示会に足を運んだりしてみて、魅力を感じるようになりました。
もともと文房具系を志望していたのは、多くの人の手にわたるものに携わりたいと思っていたからです。国立印刷局はお札やパスポートなどを製造している組織なので、そういう意味では通じるものがあると感じています。また、休日がきちんと確保できるというところも、志望先を探すにあたり重視していた条件だったので、自分にとても合っているところに出会えたと思っています。
——入社の決め手を教えてください。
本多:工場にうかがった際の職員の方の温厚さが魅力的に感じたからです。その期間を通して職員の方の人柄を感じることができたので、そういう方たちと一緒に働きたいと思いました。
——これからの目標ややってみたいことを教えてください。
本多:仕事のことでは、まだ自分がどういう仕事をするのか不安はありますが、これから先は自立していかないといけないので、お金の勉強も始めたいと思います。そうして少しずつ、ひとりで生きられる力をつけていきたいです。