就職活動ってどこから手をつけるのか、どう進めていけばいいのか分からない。ネットに溢れた情報よりも、同じムサビの先輩のリアルな話が役に立つはず。就活を経て進路を切り拓いた先輩に、これまでの道のりや大変だったこと、やっておけばよかったことなどを聞きました。

<センパイデータ>
名前:岩崎優里香
学科:日本画学科/2020年入学
内定先:株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツ/デザイナー職


——岩崎さんが就活対策で大変だったことや苦労したことを教えてください。

岩崎優里香さん(以下、岩崎):私は筆記試験やWEBテストが圧倒的に苦手で、テストで落とされることが多かったです。エントリーシートは比較的通っていましたし、面接に関しても人と話すことは得意だったので大丈夫だったのですが……。
就活ではエントリーシートの作成や企業リサーチなどにもたくさんの時間が必要で、それに加えて筆記試験の勉強もしないといけない。美大に入ってからはずっと絵を描いていたので、勉強自体が大学受験以来でした。その時間をつくるのも難しかったし、勉強自体も得意ではなかったので苦労しました。

——時間のやりくりも含めて、具体的にはどのように対策していったのでしょうか。

岩崎:本屋さんでWEBテストの対策本を買って、できる限りの時間を使って取り組みました。私は大学までの通学が片道2時間あるので、電車の中でテキストを読むなど、移動時間や隙間時間を利用して勉強していました。家やパソコンを開ける場所では、企業リサーチやエントリーシートなどに時間を使うことが多かったです。

——面接は特に苦労したポイントではなかったようですが、普段から大人と話す環境があったのでしょうか。

岩崎:もともと人と話すのが好きなんです。小さいころから親戚などの年上の人とよく話をしていたので、年の離れた人と話すことには慣れていました。また、テーマパークで接客のアルバイトをしていて幅広い年齢層の方と話すので、そこでも鍛えられたと思います。

——就活を進めるうえで、わからないことはどのように情報収集していましたか?

岩崎:アルバイト先の新卒入社の社員さんに相談しました。また、キャリアセンターもすごく活用していました。コロナの影響もあり、大学内での縦のつながりがあまり築けなかったので、先輩に聞くということはありませんでした。

——岩崎さんは日本画学科ですが、学科内では就活の話ができる環境はありましたか?

岩崎:私の学年では進学や作家活動という方向性の学生が多く、学科内で就活のことを共有できる同級生は本当に少なかったです。ただ、就活シーズンの1〜3月はムサビ自体が春休みに入っているので、必然的に会うアルバイト先の人たちに相談していました。

——キャリアセンターはどのように活用していましたか?

岩崎:わからないことが出てきたらとりあえずメモしておいて、キャリアセンターに行ったときに聞くという感じでした。毎回同じ職員の方に予約をとって、相談事も質問も面接の練習も、最初から最後まで同じ方に対応していただきました。

——就活で早めに取り組んでおけばよかったことはありますか?

岩崎:在学中のエピソードなどをメモしておけばよかったと思ったことがありました。たとえば、なにかトラブルが起きたときにどう乗り越えたかなど、エントリーシートに書けそうな、自己PRにつながるようなものです。
また、私は初めてインターンに参加したのが3年生の8月でしたが、10月の芸術祭まではサークル活動が忙しかったので、そのまましばらく就活を放置してしまい、本格的に就活を始めたのが年明けの1月の終わりくらいでした。そのころにはすでにエントリーが終了している企業もありましたし、芸術祭のあとの11、12月にインターンに参加していれば、早期選考にエントリーできる企業があったことも、あとから知りました。もっと早い時期から就活を再開していればよかったと、2月くらいに思っていました。

——インターンに参加した感想を教えてください。

岩崎:今はオンラインでのインターンも多いですが、私は最初に対面のインターンに参加することができました。内定先のエフ・ディ・シィ・プロダクツのインターンには3年生の2月に参加しましたが、その前に別のインターン先で実際の雰囲気を体験していたのはよかったと思いました。冬の時期に就活を始めてインターンに行く人も多いと思いますが、就活やインターンの雰囲気を知ることができるので、本命でなくても早めに参加してみるのがいいと思いました。

——ポートフォリオはどのように制作を進めていきましたか?

岩崎:2年生のときに、ギャラリーの方に見せるためのポートフォリオをつくっていたんです。それは純粋に作品を並べただけのものでしたが、そのベースに少し手を加える形で就活用のポートフォリオをつくることができました。私はIllustratorを使ってポートフォリオをつくっていましたが、日本画学科ではAdobeのソフトはまったく使わないので、まずツールに慣れるという意味でも2年生のころにつくっておいてよかったです。そしてそのベースがあったおかげで、キャリアセンターの方にすぐアドバイスももらうことができたので、ただ作品を並べるだけでも早いうちにやっておいたほうがいいのかなと思います。

——内定先の企業に入社を決めた理由を教えてください。

岩崎:決め手は社風と会社へのアクセスです。まず、インターンに参加していたので、会社の方たちの人柄に触れることができ、そこで働く自分の姿をリアルに想像することができました。そして就活をするにあたり自分の軸としていたのが、ずっと身につけるものや、大切な場面で使われるものなど「手に取れるものを通して、人の幸せな記憶の一部となり、人を笑顔にする」仕事に携わりたいということでした。ジュエリーデザイナーはまさに自分の思いにフィットしていると思いました。
また、転勤がない企業であることも、就職先を探す際に重要視していた点でした。転勤がなく、できれば都内でなるべく自宅から近く、さらに欲をいえば乗り換え1回で通勤できるところ……、という希望条件にも合った企業でした。

——美大生でよかった、もしくはムサビ生でよかったと感じたことはありましたか?

岩崎:就活中、美大生でよかったと感じたことはとてもたくさんありました。まず、自分の希望する職業で探すと、「美大卒のみ」で募集しているところも多く、美大生でないと受けられない企業があるということを知りました。また就活とは直接関係ありませんが、美大にいると朝から晩まで絵具だらけの環境で美術に触れていられて、とても居心地がよかったです。またムサビだったことで、いまのサークルにも出会うことができました。私が入っている「MKPサークル(パレードサークル)」は、年に一度の芸術祭でパレードをするサークルですが、衣装も振り付けもメイクも、すべて自分たちでつくりあげるんです。芸術祭前はほかのことがなにもできないくらい、みんな活動に打ち込みます。就活の自己PRや面接でもサークルでの活動にたくさん触れ、あらためてムサビでこのサークルに参加できてよかったと思いました。

——岩崎さんの今後の目標を教えてください。

岩崎:エフ・ディ・シィ・プロダクツには「4℃」をはじめとしたいくつものブランドがあるので、入社後どのブランドに携わることになるのかが楽しみです。またノベルティーなどもあるようなので、幅広くジュエリー以外のデザインもしてみたいと思っています。