就職活動ってどこから手をつけるのか、どう進めていけばいいのか分からない。ネットに溢れた情報よりも、同じムサビの先輩のリアルな話が役に立つはず。就活を経て進路を切り拓いた先輩に、これまでの道のりや大変だったこと、やっておけばよかったことなどを聞きました。
<センパイデータ>
名前:本澤 舞
学科:視覚伝達デザイン学科/2019年入学
内定先:サンエックス株式会社/デザイナー職
——就職活動で大変だったことは何でしょうか。
本澤舞さん(以下、本澤):いちばん心が折れそうだったのは、たくさん書いて何社も出したエントリーシートが全然通らなかったことです。就活を始めた頃で、4年生になる3〜4月くらいですね。周りは面接に行きはじめているのに、自分はほとんどの会社に書類で落ちてしまうという状況でなかなか辛かったです。
——スタート時で就活の要領も得ていない時期で、余計に不安になったかと思います。その状況をどう乗り越えていきましたか?
本澤:まずはキャリアセンターに相談したり友だちにも話をしたりして、一人で抱えないようにしました。同時に自己分析を続けていって、ようやくまとまったものが書けるようになって少しずつエントリーシートが通るようになり、流れが変わっていったかなと思います。精神的にも持ち直していきました。
——就活を進める上で、分からないことや知りたい情報はどう集めていきましたか?
本澤:やっぱりキャリアセンターです。初めはちょっと行きにくいイメージがあったのですが、就活に関しての過去の蓄積があり信頼できる情報が得られる場所だし、親身に話も聞いてくれるので、多いときは週に2回くらい行っていました。
——キャリアセンターに行きにくいのはどうしてなんでしょうか。また、それでもキャリアセンターに行ってみたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
本澤:何が悩みなのか、何が分からないのかも分からない状態で行っていいのだろうか…と思ってしまうというのはありました。でも友だちがキャリアセンターでポートフォリオを見てきたという話を聞いて、じゃあ行ってみようかなと。実際はそんな心配は不要で、何も分からない状態でもしっかり話を聞いてくれましたね。
——就活でもっと早くやっておけばよかったと思うことはありますか?
本澤:よくいわれることですが、自己分析です。私は自己分析に取り組むのがすごく遅かったんです。志望する会社の選考がたまたま遅かったので何とか間に合いましたが、もっと早い時期の選考だったら危なかったと思いました。自己分析は自分に向き合って掘り下げていく作業で、考えれば考えるほど方向性が定まっていきますが、私はそれをしっかりする前にエントリーシートを書き始めたので、たくさん寄り道をしてしまいました。また、しっかり自己分析していると自分の引き出しも増えて、面接でもより言葉が出てくる気がします。
——迷ったときは誰に相談していましたか?
本澤:同じ学科の友だちが多かったです。就職を希望している友だちとお互いの就活の話をしたり、集まって一緒にポートフォリオをつくったりもしていました。そうすると、自分では気付けなかったことを客観的に指摘してくれたりして、新たな視点を得られてありがたかったです。
——ポートフォリオはどれくらいの時期からどのように進めていきましたか?
本澤:4年生になる前くらいから少しずつ着手していました。先輩に見てもらったり友だちとコメントし合ったりして、持ち帰って手を入れたものをまたみんなで見せ合って、ということをしていました。全体で50ページくらいで、授業でつくったものがほとんどなのですが、講評の後に手を加えていなかったものや、アイデアは出していたけれど形になっていなかったもの、もう少しがんばれば作品になりそうなものなどは手直しして載せました。
また授業でお世話になった先生でデザイナーとして仕事をされている方にアポを取って、ポートフォリオのアドバイスをいただいたりもしていました。プロの目線で添削してもらうと、より自信を持てるようになりますし、見せ方の勉強にもなります。初めは緊張するかもしれませんが、思い切って連絡してみるといいと思います。
——インターンには参加しましたか?
本澤:いわゆるインターンには参加していませんが、インハウスデザイナーの1日体験には参加しています。仕事の説明も詳しくしてくださったので、就活がいよいよ始まるぞという心構えの機会になりました。内定をいただいた会社はインターンを実施していなかったのですが、もし志望している会社が実施しているのであれば、参加して損はないと思います。
——内定先への入社を決めた理由を教えてください。
本澤:私は小さい頃からサンエックスのキャラクターがすごく好きで、それがきっかけで絵を描くことが好きになりました。それくらい自分の人生で影響を受けた会社だったので、2年生の頃からサンエックスに就職したいと思っていて、迷うことはありませんでした。
——本命の会社がダメだったら、ということも考えていましたか?
本澤:もちろんうまくいかない可能性もありましたし、大学に入ってから知った素敵な職業もあったので、他の会社も並行して受けながらの就活でした。イラストを描くのが好きなので、イラストが活かせるようなデザイン事務所なども受けていました。
——就活をしていて美大生でよかったと思うことはありましたか?
本澤:正直なところ、美大で評価されることと社会人として評価されることにはギャップがあるというのは、就活をしていてとても感じました。就活においては、美大生としてやってきたことが必ずしもプラスになるわけではないんだなと。ただ、これまで取り組んできたことは社会に出ていく上で決して無駄なことではないし、何よりも好きなことを続けられる環境があって、それがこの先の職業につながっていくというのは本当に幸せなことだなと感じています。周りも同じように好きなことを自分がやりたいからやっている人たちばかりなので、刺激になるしたくさん助けてもらいました。やっぱり美大生でよかったなと思っています。
——今後の目標ややってみたいことを教えてください。
本澤:まだ入社してからのことがイメージできませんが、会社で自分が携わってつくったものを街中やお店で見るというのは一つの目標です。都心にしかない大きな広告や、地元の小さなお店で見られたらすごく嬉しいと思います。