就職活動ってどこから手をつけるのか、どう進めていけばいいのか分からない。ネットに溢れた情報よりも、同じムサビの先輩のリアルな話が役に立つはず。就活を経て進路を切り拓いた先輩に、これまでの道のりや大変だったこと、やっておけばよかったことなどを聞きました。

<センパイデータ>
名前:A.Rさん
学科:デザイン情報学科/2022年入学
内定先:株式会社サイバーエージェント/デザイナー総合職


――就活はどれくらいの時期から始めましたか?

A.Rさん:キャリアセンターが定期的に開催する企業説明会などには1年生の頃から参加していましたが、本格的にポートフォリオをつくってエントリーを始めたのは3年生の12月でした。もう年末に近かったです。同級生は夏のインターンシップに参加したりしていたので、周りに比べるとすごく遅かったと思います。

――遅めのスタートになったのはなにか理由があったのでしょうか。

A.Rさん:就職することは決めていたのですが、具体的にいつ頃から動くのかをあまり意識しておらず、日々の制作などを優先してしまったという感じです。4年生の4月くらいになると、すでに内定をもらったという友だちも結構出てきていたので、内心は少し焦っていました。

――最終的に4年生の7月にデザイナー総合職での内定となりましたが、どのような業種や職種を受けましたか?

A.Rさん:ゲーム業界を中心に、UI/UXデザインに関わる職種を受けました。

――就活をするうえでなにを基準に応募先を絞るかという“就活の軸”は、どのように探っていったのでしょうか。

A.Rさん:自分の学生生活を振り返ってみると、私は新しいことに挑戦することが楽しかったり、なにかを任せてもらうことにもやりがいを感じたりしていました。また、話すことも好きだったので、就活でも自分から発言したり新しいコンテンツを考えたりして、チャレンジしていける環境かどうかを重視していました。

入社を決めたサイバーエージェントは、まさにそんな風土があると感じました。上下の関係に囚われずに若手がどんどん挑戦していっているところに惹かれたんです。

――就活対策で大変だったことを教えてください。

A.Rさん:動き出すのが遅かったこともあり、ポートフォリオの作成が大変でした。3年生の前半でポートフォリオをつくる授業があったのですが、それ以降なにもしていなかったので、12月になってあらためてポートフォリオをつくり始めた段階で、載せる作品が意外と少ないということに気づいたんです。長期休みの間に自主制作にしっかり取り組んでおけばよかったとすごく後悔しました。そこから過去に制作したものをポートフォリオに載せるためにブラッシュアップしたり、自主制作が少なかったので、授業の課題で制作したものをUI/UXの方向につくり変えたりもしながら、作品数を増やしていきました。

――エントリーシートの準備も同時期に進めていったのでしょうか?

A.Rさん:そうですね。私が受けた企業はほとんどが1次選考でエントリーシートとポートフォリオの提出が必要だったので、ポートフォリオをつくりながら、同時にエントリーシートも仕上げなければなりませんでした。エントリーシートはそれぞれの企業のWEBサイトやYouTubeで情報を追いながら、受ける企業に合わせて内容を少しずつアレンジして仕上げていきました。

――就活に関する情報収集はどのようにしていましたか?

A.Rさん:企業のWEBサイトのほかに、キャリアセンターが運営している「ムサビ進路ナビ」を頼りにしていました。進路の情報が集約されている進路ナビには、先輩の体験談がすごく丁寧に、しかもたくさんまとめられていて、便利だし本当に参考になりました。ネットでも情報収集はできますが、信用できるのかどうかわからない情報や、偏った意見も多いのであまり見ませんでした。

――キャリアセンターも利用していましたか?

A.Rさん:はい。就活を始めたのが年末だったので、冬休み中はオンラインのキャリア相談も頻繁に利用しました。週1くらいでキャリア相談の予約をして、ポートフォリオやエントリーシートを見ていただいたり、面接対策などもしていただきました。就活のことは友だちとも相談し合っていましたが、わからないことや知りたい情報を多くいただける場がキャリアセンターだったので、とても助かりました。

――周りの友だちとも情報共有をしていたんですね。

A.Rさん:デザイン情報学科には就活をする人が多いので、そういう仲間と定期的にポートフォリオを見せ合ったり、企業の情報を共有したりしていました。私と同じくゲーム業界を目指す人も多く、Discordでグループをつくって情報共有もしていました。

――就活で早めに取り組んでおけばよかったと思うことを教えてください。

A.Rさん:自分がどういう業界に行きたいか、どういう企業を目指すかというところは、作品やポートフォリオのまとめ方にも関係してくるので、早めに決めておくといいと思いました。私は1年生の頃に企業説明会で内定者のポートフォリオも見ていましたが、ポートフォリオの傾向や企業が求める方向性などを意識的に見てはいませんでした。1、2年生のうちから希望の業界や企業を考えておくと、もっと企業の分析ができてポートフォリオもつくりやすかったかもしれません。

――内定先のサイバーエージェントは、採用直結型のインターンシップに参加したということでしたが、どのような内容だったのでしょうか?

A.Rさん:私が参加したのは3日間のインターンシッププログラムで、3日間かけてあるテーマに取り組んで、最後にプレゼンするという内容でした。そのなかで社員の方としっかり話せる機会もあり、現場で活躍する方の仕事や考え方に触れることができたのはとてもよかったです。社員の方たちがすごく楽しそうに働いていたのが印象的で、魅力的だなと感じたインターンシップ体験でした。

――就活をするなかで、美大生でよかったと感じたことはありましたか?

A.Rさん:面接で自分の考えや意見を聞かれることが多かったのですが、ムサビの授業でグループワークやプレゼンをよくしていたので、その経験はとても活きたと思います。あと美大生は根性があるというか、受験のときから学科試験だけでなく実技試験の対策もたくさんしてきて、精神的な強さが鍛えられている気がしています。何社も受けて不採用のメールが届くとやっぱり辛い。でもそこで落ち込むよりも、「私を落とすなんて見る目がないな」と前向きに考えてどんどん次に進むようにしていました。

――今後の目標ややってみたいことを教えてください。

A.Rさん:いま、サイバーエージェントで内定者アルバイトというかたちで働いていて、まだまだ自分に技術力やデザインに対する考え方などが足りていないということを実感しています。まずはその基礎力を上げることが目標ですが、入社後はいろんなことに挑戦して、ゆくゆくは新しい企画を立ち上げられるような人材になりたいです。また、社員のなかでも少し先輩の若手が後輩を育成する取り組みもあるようなので、そういったことにも関わっていけたらうれしいです。