取材:2019年8月
木村 宇多佳(きむら・うたか)
2018年油絵学科卒業。
幼い頃から、絵を描く仕事をするという夢を抱いて、武蔵美に進学。1年生後半から就職活動を視野に、ポートフォリオ制作を始める。3年生夏のインターンシップを経て入社、念願の“絵を描く仕事”に打ち込んでいる。
東京で、絵の仕事をする
強い信念を胸に、切り拓いた道
木村さんにとって“絵を描くこと”は、幼い頃からの友であり、進むべき道を指し示す、頼もしいコンパスのようなものだったのかもしれない。
将来は絵の仕事がしたい。自分の絵で、たくさんの人に喜んでもらいたい。いつしか抱いたその希望に向かって、彼女は地元では数少ない美術コースがある高校に通い、東京の美大を受験した。
「油絵学科でしたが、油彩だけでなく水彩やデジタルツールに挑戦しましたし、イラストコンテストなどにも積極的に応募しました。学び方の自由度が高く、設備環境が充実していることも、武蔵美を選んだ理由です」と、学生時代を振り返る木村さん。
ここで自らの画風の幅を広げよう、多彩なスキルを身につけようという意欲は、入学当時から明確だった。
かくして就職活動に臨んだ木村さんが入社したのは、株式会社ディー・エヌ・エー。その主力事業であるゲーム事業部で、木村さんはゲームクリエイターとして歩みだしたところだ。
「新卒デザイナー研修では1年間、UIデザイン、3Dキャラモデル、背景モデル、エフェクト、モーションなど、ゲームデザインに関わるスキルを丁寧に勉強させてもらいました。2年目でいよいよ現場に配属となり、“自分が担当した”といえるものが世に出はじめたところです」と、成長の手ごたえに胸をはずませる。
プレイヤーを惹きつける絵の力が
シビアに試されるゲーム業界で
モバイルゲームの人気は年々高まっており、その市場は全世界に広がっている。無数のコンテンツが生まれては消えていく熾烈な競争の場で勝ち残るには、ゲームとしての面白さに加えて、プレイヤーを惹きつける“絵の力”がとても重要になる。
「一施策のデザインを担当させてもらったのは『逆転オセロニア』。『ポケモンマスターズ』では、GUIとゲーム内外で使われる2D画像を担当しました。一番手をかけたのは、キャラクターの撮影とレタッチ作業です。3Dモデルは、ポーズをつけるとどうしてもめり込みやカクつきなどの不自然さが出てしまうので、元のモデルの良さをそこなうことのないよう、1体1体すべて手描きで加筆や修正をしました。“キャラクターが生きている感じ”を出したくて」。
華やかなイベントをクリアする。たくさんのキャラクターを集め、レベルを上げる。プレイヤーが夢中になれるコンテンツをいかにつくり上げるかが、モバイルゲームのマネタイジングの肝だ。そこに妥協はいっさいない。
「自分もゲームが大好きですから、お気に入りのキャラクターが可愛い、かっこいいと嬉しい気持ちはよくわかります。制作したものに対して、評価や反応がはっきりリサーチできるのがモバイルゲーム。この世界をもっと深く学んで、できることの幅を広げ、いずれは新たなゲームのグラフィックの全責任を担うような、大きな仕事に挑んでみたい」と木村さん。
たおやかな印象からは想像もつかない芯の強さ。その根幹には、自分の好きなことで、人を楽しませたいという一途な想いがある。
「絵を愛する心」に導かれて、憧れを現実にかえて歩みだした彼女の物語は、まだ始まったばかりだ。
上司が語る武蔵美力
強みを活かして
提案力あるデザイナーに
大山 晃央
ゲーム・エンターテインメント事業本部 ゲーム事業 Develop統括部
デザイン部 UI/UX 第一グループ グループマネージャー
木村さんの強みは、温かみのある魅力的な絵が描けることと、既存のゲームの常識にとらわれない柔軟な発想力があること。インターンに来たときから、そう感じていました。現在はUIデザイナーとして開発に携わっていますが、今後はさらにスキルを伸ばして、セクションを超えて強みを活かしてほしい。スピードを求められるゲーム業界の中で、プレイヤーにインパクトを与える提案ができるデザイナーになってくれるよう期待しています。
企業リンク
> 株式会社ディー・エヌ・エー