取材:2019年7月

和久津 桃子(わくつ・ももこ)
2017年視覚伝達デザイン学科卒業。
武蔵美時代に得たのは、視覚をはじめ五感を意識した表現やデザインの考え方。そして多種多様な趣味を持つ仲間との出会い。入社後は学びを活かしながら、ジャンルや媒体にとらわれないプロモーションデザインに携わっている。


企画運営も制作も
今につながる学び多き武蔵美時代

株式会社博報堂プロダクツのデザイナーである和久津さんにとって、武蔵美時代のよき思い出といえば、4回の芸術祭だ。

「1年生のときは執行部という芸術祭全体の企画運営チームに入りました。2、3年生はフリーマーケットに出すグッズ制作に励み、4年生では友人たちと共同で店舗出店して、販売物だけでなくパッケージやPOPづくりなどにも取り組みました。今思うと、企画・制作・ブランディングといった、現在の仕事につながるひととおりの経験を、芸術祭でやっていたんですね」。

授業や課題以外にも、多くの知見を与えてくれた大学生活。そんな彼女が同社に入るきっかけになったのは、在学中のある出来事だった。

就活中、学内で開かれた会社説明会で、彼女のポートフォリオがアートディレクターの目に留まったのだ。

「これをきっかけにエントリーして、課題、最終面接までとんとん拍子に進んだので、正直驚きもありました。でもデザイナー職に就きたい、それも企画から制作まで総合的に関われる会社がいい、という私の希望に“プロモーション領域のものはすべてやる”というポリシーを持った博報堂プロダクツはぴったりだったんです」。

出会いのタイミングや運も含めて、縁があったということなのだろう。和久津さんはクリエイティブの最前線に飛び込むことになった。

和久津さんと同社の縁をつないだポートフォリオ。
真っ赤な刺繍が目を引く表紙、売り場づくりまで考えられた商品展開など、荒削りながら確かな思考力が光る。

大きな注目を集めた案件は
センス+人脈でつくりあげた作品

「分野にこだわらずなんでもやりたいと思っていますが、実際には未知のコンテンツにぶつかり行き詰まってしまうことも。実は私は漫画やゲームにほとんど触れたことがなくて。媒体も平面、立体、Webと多岐にわたりますし、本当に日々勉強、日々新鮮です」と和久津さん。

入社して3年、世間の注目を集め、成果を問われる案件に関わる機会も増えてきた。そんな彼女に大きな手ごたえを与えてくれたのが、女性に人気の商業施設のPRツールの仕事だ。緑豊かな屋上のフリースペースと、そこで開催されるイベントをどうアピールするかが課題だった。

「都会の屋上リゾートをテーマに、トロピカルな花や鳥、フルーツを描いたメインビジュアルを提案して、DM、フライヤー、ノベルティ、店頭ポスターや駅ナカ広告まで、大きく展開されました。

実はこのイラストを描いてくださったのは、武蔵美の大先輩でもあり、大学入試のために通っていた美術予備校の講師だった方です。思いついたとき、きっとあの方のタッチが合う! とお声がけして…クライアントにも好評でしたし、かつて指導してくれた方に仕事で恩返しができたのも嬉しかったですね」。

センス、実力、経験。そして人との縁を大切に、次々と新たな案件に挑む和久津さん。プロモーション領域に幅広く関わる総合制作会社との相性は抜群なのだ。

深みのあるピンクに、南国のモチーフが色鮮やかなメインビジュアル。
お得意様に送るDMには型抜きなど、凝った加工も。ターゲットを意識した提案が高く評価された。

上司が語るムサビの人間力

ワークフローを
正しく設定できる筋のよさ

瀧澤 武仁
企画制作事業本部
本部長補佐

センスやスキルももちろん重要。でも私が和久津さんに感じる一番の美点は「守るべきラインをきちんと守る人だ」という点です。時間やスケジュールに沿って確実に業務を進められるのは、ワークフロー全体を正しくイメージできているからこそでしょう。どんな仕事にも、納期や保つべき品質があることが大前提。この点を安心して託せるデザイナーとして、今後さらに視野を広げていってほしいです。

企業リンク
> 株式会社博報堂プロダクツ