取材:2018年5月
角田 能経(かくた・のえる)
2015年、視覚伝達デザイン学科卒業。
在学中に参加した産学連携企画や、着物のデザインコンテストなどを通じて商品開発のコンセプトワークやグラフィックデザインを学ぶ。オリエンタルランド入社4年目にして菓子缶などのパッケージ、衣料服飾品と関わるデザイン領域をぐんぐん広げている。
中学時代に抱いた素直な興味は
まっすぐ未来につながって
角田さんは千葉県出身。クリスマスやハロウィーンなどの行事を全力で楽しむ家族の影響もあって、そこは幼いころから慣れ親しんだ遊び場だった。
今、夢の国のクリエイターとなった彼女が、デザインに興味を持ったのは中学時代のこと。きっかけはコンビニの棚に並ぶお菓子のパッケージだったという。
「キラキラの箔が押してあったり、色使いがお洒落だったり。美味しさはもちろんですが、まずパッケージに惹かれて。そうか、デザインの魅力で手に取りたくなる商品というのがあるんだなって気づいたんです」。
いずれはこんな風に心躍るデザインをする人になれたら。そう考えて進学した武蔵美で、角田さんは意欲的に作品制作に取り組み、外部コンペにもチャレンジした。
季節ごとのテーマをみずみずしい水彩で描き、3年連続で入賞した着物のデザインコンテスト。「お風呂で楽しむアイス」をテーマに、高い評価を得た産学協同の商品企画プロジェクトなど、数々の成果をまとめた充実のポートフォリオが、憧れの会社への扉を開いてくれた。
「オリエンタルランドに入社し、私自身、来園するたびに目移りしながら選んだ素敵なパッケージを、自分の手でつくりだせるようになって。…もちろん、商品をつくる上での制約もあります。でもその中でどれだけ“心ときめかせるデザイン”ができるかと知恵を絞るのも面白いんですよ」と、角田さんは楽しそうに語る。
可愛い、お洒落、それだけじゃない
デザイナーにはビジネス感覚も必要
世界中からゲストが集まるテーマパークにおいて、物販はアトラクションやサービスとともに大きな事業の柱だ。シーズンごとの華やかな企画にマッチした世界観を守りつつ、購買意欲を刺激するためには、デザインスキル以外にもさまざまなセンスが必要になる。
「企画のターゲットに合わせて数ヶ月先を読み、トレンドに対応したパークらしいデザインを提案します。そこに分析を交えて裏付けし、論理的に説明するデザインロジックを武蔵美時代に学んでいたことは、今とても役立っていると思います」。
自社で企画し、製造し、運営する施設で販売するという一気通貫のビジネスモデルには、自らのデザインがどう評価されたのかがダイレクトに返ってくるシビアさがあるが、狙い通りにヒットしたときの喜びはなににも勝る。
「嬉しいことに、入社2年目で関わったバレンタインと夏季の商品群が好評で継続中なんです。以前はお菓子のパッケージを主に手がけていましたが、最近では新たに衣料服飾品も担当し始めました。自分自身が楽しみながらアイデアを出し、遊び心いっぱいのデザインにしたので、ゲストが着ている姿を見るのがとても楽しみです」と角田さん。
ゲートをくぐれば、そこは夢の国。角田さんがデザインした服をまとって、最高の一日を満喫するゲストの姿が、眼に浮かぶようだ。
上司が語るムサビの人間力
ターゲットに近い感性から
生まれる説得力
森 静香
商品本部 商品開発部 商品デザイングループ
マネージャー
仕事中の彼女は、とても粘り強い人という印象。自分のこだわりを表現するセンスもさることながら、その背景にあるロジカルな部分を周囲に伝え、納得させながら仕事を進めようとする姿勢が高く評価されています。ゲストの中心層である“若い女性”でもある彼女の発言は、穏やかな中にも熱意と説得力があって、企画会議のメンバーがハッとさせられることがたびたびあります。
企業リンク
> 株式会社 オリエンタルランド