取材:2017年5月
川鍋 道広(かわなべ・みちひろ)
2010年、建築学科卒業。
建築に関わるさまざまな道を模索する中で「ゼネコンならではの総合力」に惹かれて株式会社大林組へ。人が集い、人に役立つ建物づくりを通じ社会に必要とされる仕事ができる点が大きなやりがいになっている。
既成概念にとらわれない提案ができる
それがゼネコンの面白さ
建築を学んだ者が将来どんな進路を選ぶか、その方向性はさまざまだ。個人住宅を手がける事務所から、巨大なビルを手がける企業まで。数ある選択肢の中で、最も総合的に建築に携わることができる会社、それがスーパーゼネコン……企画・設計はもちろん施工も含め、一貫して引き受けることができる技術と実績を備えた、業界を牽引する企業だ。
8年前、川鍋さんが選んだのは株式会社大林組。その仕事の魅力を、川鍋さんは“社会性の高い仕事ができること”だという。
「私たちに求められるのは、規模・予算・機能・出すべき成果といった顧客の要望を踏まえた、“あるべき姿”をカタチにすること。既成概念にとらわれることのない提案をして、まだこの世にはないものを、各工程のプロ集団が一丸となって、ゼロから創り上げていく総合力。それが大林組の強みです」。
企業の誇りとなる社屋、話題の集客施設。大林組が関わるプロジェクトには華やかな案件も多いが、その一方で日々の仕事は決して派手ではないと川鍋さんは言う。
「私は建築設計部に所属していますが、機能や意匠を考え、図面を引くだけの仕事ではありません。調査・提案・許認可取りといった調整業務なども、並行して行っています。自分や仲間の毎日の積み重ねが、ひとつの建築物になっていく。繊細な気配りと、大胆な発想。どちらも求められる点にやりがいを感じます」。
「なぜこうあるべきか」という感覚を
思考の軸として
そんな川鍋さんの代表作が、愛媛にある『奥道後ゴルフクラブ』の新クラブハウスだ。基本設計を手がけた上司から託されたのは、内外観の質を高める意匠設計のすべて。眼下には瀬戸内海、背後には緑の丘陵というロケーションを活かし、名門ゴルフクラブにふさわしい格調と開放感を追求した施設は、顧客と利用客双方から高い評価を受けている。
「どんな案件でも、大切なのは、なんのために建てるのか、なぜこのプランなのかという軸がブレないこと。これには、武蔵美時代に養った“課題に真摯に向き合い、本質的な答えを探す”という思考法が、とても役立っていると思います。スタイルありきではなく、なぜこのカタチなのかという意味だったり価値を突き詰めた先に、あるべき姿が見えてくる。そういう仕事で、社会に貢献することがゼネコンの使命なんじゃないかと、今は感じています」。
このプロジェクトを無事完了させた彼は、現在、新プロジェクトのメンバーに選ばれ、日々、社内外で活発な議論を重ねている。思考を研ぎ澄ませた設計にGOサインが出て、確かな技術で施工された建築物が世に出るのは、おそらく数年先のこと。
「せっかく大林組に入ったんだから、最高のモノづくりに挑戦したい」。そう微笑む彼の表情には、まだ誰も知らない未来のプロジェクトへの情熱があふれていた。
上司が語るムサビの人間力
相互理解の努力を惜しまぬ人
浅利 徳男
設計本部 設計部
課長/一級建築士
(1996年 武蔵野美術大学 造形学部 建築学科卒業)
約900人の設計士を擁する当社ですが、まだ同じ部署になる前から、川鍋君の噂は時折耳に入ってきました。どんな人物なんだろうと期待しながら、新プロジェクトで顔を合わせて納得。自分の考えを伝え、相手の想いを引き出し、高いレベルで折り合いをつける。そのための努力を惜しまない彼は、いずれ大きなプロジェクトを担当できる人材になると思います。
企業リンク
> 株式会社 大林組