取材:2017年6月

間見 絵美里(まみ・えみり)
2015年、映像学科卒業。
高校時代、好きだったアニメをきっかけに、映像制作に興味を持つ。
学びを活かして映像業界でプロになることを志し株式会社ティー・ワイ・オーに入社。現在、キャリア3年目のPMとして、大手ビール会社や自動車メーカーのCMなど注目の案件にも携わるようになっている。


“映像”の仕事がしたい
自覚を胸に、堅実に学んだ4年間

「入学して、すぐに気がつきました。映像学科にはアーティストやクリエイターをめざしている仲間が多かったけれど、私は違うみたいだなって」。そう、間見さんは自分の武蔵美時代を振り返る。

在学中から手描きアニメーションで注目されていたり、学外の作家に師事しているような仲間が、同学科には何人もいた。“映像作家”をめざし、感性を磨くべく切磋琢磨する雰囲気の中、彼女が考えていたのは、ここで学んだことを、将来の仕事にいかに結びつけるかということだった。

「作家にはならない。でも、ずっと映像に関わる仕事をしていきたい。そう考えて見渡せば、武蔵美には素晴らしい環境が整っていました。多くの指導者や先輩がいて、最新の機材や映像編集ソフトが自由に使える。学ぶだけでなく実戦力を高めようと、映像制作会社でのアルバイトも経験しました」。そんな間見さんが、現在勤務する株式会社ティー・ワイ・オーと出会ったのも、武蔵美OBが来校して行われた会社説明会だった。

話題のCMを数多く手がける同社の実績に、多彩な仕事にチャレンジできそうな可能性を感じエントリー。見事、内定を勝ち取った。

在学中に制作した映像作品『10count』。
「何人かに“これ好き!”といってもらえて嬉しかった」という思い出の1本。

表舞台には出なくとも
自分がいるから完成するものがある

現在、彼女の名刺に書かれている肩書きは「プロダクションマネージャー(以下PM)」。それは一体、どんな仕事なのか。

「CMの企画段階から終わりまで、滞りなく制作を進めるための調整役です。スタッフの手配、撮影現場の選定や編集作業、予算管理、撮影当日には進行役もします。とにかく、その案件が完了するまで、責任をもってサポートするのがPMの仕事です」。多岐に渡る業務を指折り数えながら説明する姿は、入社3年目にしていくつものCMや映像作品を世に送り出してきた自信とパワーであふれている。

「CMは15秒、30秒という短いものですが、その制作には多くの人が関わり、無数の工程が発生します。それらをきちんとコントロールする者がいないと、案件は完遂できません。時には下支えし、時には俯瞰的視点から意見を出す。表には出ないポジションだけど、なかなか重要な役割を果たしているんじゃないかな」。さながら扇の要のように、CM制作に関わるヒト・モノ・コトのすべては、PMの手腕にかかっているのだ。

「大学時代から私は裏方の仕事が好きでした。芸術祭のときも、盛り上がる舞台や仲間たちの笑顔を袖から眺めて、自分、いい仕事したなって」。

CMがどんなに話題になっても、間見さんに脚光があたることはない。それでも、この作品は最初から最後まで、自分が伴走して作り上げたのだ。その確信が、彼女の足取りを軽やかなものにしている。

TV-CMやWeb動画、ミュージックビデオなどの企画から制作まで制作全体を通じ、準備・撮影・仕上げを統括するのがPMの役割。
どんなイメージか、どんなアングルか、熱がこもる撮影打ち合わせ。
制作に関わるさまざまな立場の意見を集約する、扇の要がPMなのだ。

上司が語るムサビの人間力

心の芯に、熱いこだわり

松本 章裕
業務統括本部 人材開発部
部長

私は、面接のときの印象=人となり、そう考えています。彼女の第一印象は、物怖じせず社交的。多くの人と関わるこの業界に向いていると思いました。入社してからは、時折スイッチが入ったかのように熱い語りを披露することもあり、ああ、やはり美大生らしく、芯にはこだわりがある人なんだなと感じます。それでもどこか客観性があり、おしつけがましくない話し方ができるところが、内外のスタッフから高く評価されています。

企業リンク
> 株式会社 ティー・ワイ・オー