取材:2016年6月
簾 葉月(すだれ・はづき)
2013年、油絵学科卒業。
武蔵美時代には油絵学科に在籍しながら、現代アートや立体などの作品にも挑戦。
図らずして培われた幅広いアートセンスが多彩なタッチや画風を求められる現職にマッチした。
チームワークで仕上げる絵コンテ
画力だけでなく、調整力も大事
「絵を描くのが好きで、写実的なタッチが得意。入学前はそう思っていました。でも大学で会った友人たちはあまりに個性的で…。自分の画風ってなんだろう、際立ったものはないんじゃないか、という迷いがいつもありました」。簾さんはそう、武蔵美時代の自分を振り返る。
そんな彼女が現在勤めるのは、TV CMやWeb・ゲームに必要不可欠な絵コンテなどを制作する株式会社アクア。国内最大手である同社のイラスト制作部からは、インパクト抜群の大ヒットCMや、数百万人が楽しむゲームや映画のキービジュアルが次々と生み出されている。
「CMを例にとると、オンエアされるのはタレントやキャラクターを撮影したフィルムですが、その前段階に、『こういうCMです』と説明するための絵コンテを作ります。今の私のメイン業務は、この絵コンテ用のイラスト制作と進行ですね。スピードが要求されるし、たくさんカットを描くので、作業はチームのみんなによる分業制なんです」と簾さん。
クライアントから指示書が届いてから、納品までに与えられる時間は、短いものならわずか1日。
内容やカット数にあわせて人物・背景・小物などの各担当者を決める調整力の高さ、集まったパーツを完成品にまとめあげるセンスとスピードは社内外から高く評価されており、入社3年目にして、彼女の名刺には“サブリーダー”の肩書きが刷り込まれている。
“自分の画風がない”ことが
働き始めたら、武器になった
絵コンテと一口にいっても、求められるタッチは様々だ。タレントそっくりの実写と見紛うようなものから、線画のみのあっさりとしたものまで。彼女の分厚い作品ファイルを見ても、同じ人が描いたとはとても思えない、多彩な絵が並ぶ。
「一般にイラストレーターというと、“唯一無二の絵柄を持った作家さん”をイメージするでしょう。私はそういうアーティストタイプではないけれど、どんなオーダーにも応えられるし、なんでも描ける。そうか、これもイラストレーターとしての生き方のひとつなんだって思うようになりました」。学生時代のコンプレックスから解き放たれて、簾さんの絵心はいきいきと躍動しはじめた。
その表れともいえるのが、最近手がけたある仕事だ。 国民的大ヒットとなったゲームの新作CMで、彼女が描いたコンテを気に入ったクライアントが、そのままイメージビジュアルとして採用してくれたのだ。
「アニメ絵とは違う、水彩の絵本風タッチにしてみたところ、それが響いたようで、広告やサイトの目立つところに使ってもらいました。絵コンテの仕事は基本、裏方ですが、熱心に描いているとこんな嬉しいこともあるんだなって」。
ニーズにあわせて、仲間と共に、どんな絵だって描き上げてみせる。そう語るオールラウンダーの毎日は多忙だが、とても充実しているのだ。
上司が語るムサビの人間力
チーム内への目配りのよさ
佐藤 秀政
執行役員
採用試験では、ポートフォリオを見るだけでなく、その場で絵を描いてもらいます。簾さんの課題のクオリティとスピードは、当社が求める水準をしっかりと満たすものでした。
コミュニケーション力が高く、チームで行う業務にもスッとなじんでくれましたし、仲間の様子をよく見て状況を把握し、伝えるのが上手な点も高評価。今後さらにキャリアを積み、マネジメントができる人へと育ってくれたらと願っています。
企業リンク
> 株式会社アクア