就活を終えた4年生が、リアルな就活体験を後輩に向けて語る「ジョブトーク」。キャリアセンターのイベントのなかで唯一学生が主体となっており、カジュアルな雰囲気で参加しやすいと好評を得ています。2回目の開催となる2023年度は、以下のテーマのもと、全6回にわたり開催されました。
第1回:9/26(火) 就活そもそも編
第2回:10/10(火) ポートフォリオ編①
第3回:10/17(火) ポートフォリオ編②
第4回:11/7(火) 志望業界の決め方編
第5回:11/14(火) 本選考編
第6回:11/21(火) 質疑応答編
今年のジョブトークはどのように進められたのでしょうか?第1回終了時のインタビューに続き、運営メンバーである視覚伝達デザイン学科の桑﨑真里亜さんと油絵学科の古屋 圭さん、そしてキャリアセンターの舘野可奈さんが、発表内容や工夫した点、苦労したことなどについて振り返ります。
——きのう(取材時)最終回を終えたばかりということで、いまの率直な気持ちを教えてください。
桑﨑真里亜さん(以下、桑﨑):「楽しかった!」のひと言です。就活には人それぞれストーリーがありますが、それを語り合う機会はなかなかありません。ジョブトークを通して、ストーリーを運営メンバー間で共有しながら、さらに後輩たちに伝えるというのが、すごく新鮮で貴重な体験になりました。
古屋 圭さん(以下、古屋):すごくあっという間でした。無事に終えてホッとしつつ、寂しくもあります。就活が終わり、運営メンバーやこれから頑張る後輩たちに自分の体験を話せたことで、ひと区切りがついた感覚です。卒制、社会人デビューなどこの先に向けた不安も多くありましたが、自分のなかで自信になりました。
舘野可奈さん(以下、舘野):率直に感じたのは、ムサビ生ってすごいなということです。忙しいなか、急に集められたメンバーだったのにもかかわらず、どうしたらよりよいイベントになるのかを常に考えてくれました。告知ポスターの制作といったクリエイティブ面はもちろんですが、たとえば面接の話ではしっかり本質を捉えていて、すばらしいなと感じました。メンバーのみなさんには、本当に感謝しかありません。
——全6回にわたって開催されましたが、おふたりがメインで発表した回もあったのでしょうか?
古屋:就活のなかで力を入れていたところがメンバーそれぞれで違ったので、テーマによって自然と分担する形になっていました。私がメインで話したのは第4回の「志望業界の決め方編」です。自分が使っていたツールや、どんなサイトを見ていたか、それから、説明会に参加するときにどんなことを意識していたかなどを重点的に話しました。
——発表するうえで意識したことはありますか?
古屋:みんなもちろん初めての就活なので、まずはわかりやすい言葉で伝えることを意識しました。たとえば「ガクチカ」や「SPI」のような用語を、私は就活を始めるまで知らなかったので、できるだけ噛み砕いて話すように気をつけていましたね。あとは、「こうしなさい」という言い方は絶対にしたくなかったので、そうではなく「こういう選択肢もあるよ」という表現にしていました。
桑崎:私は第1回の「就活そもそも編」でメインで話しました。古屋さんが言ったように右も左もわからない人たちが来ていると思ったので、ちょうど1年前の、なにも知らなかった自分が聴く側に座っていると想像し、いまの時期にどういう情報が必要だったのかを思い出しながら話しました。
「志望業界の決め方編」「本選考編」でも発表したりスライドをまとめたりしたのですが、そのときに気をつけていたのは、失敗談や、自分がそのとき悩んでいたことをどう解決したかを伝えることです。「就活はこうあるべき!」とか、テンプレの言葉ではなく、実体験したことを自分の言葉で伝えることに気を配りました。
——低学年の参加も多かったのでしょうか?
舘野:キャリアセンターのほかのイベントに比べて、1・2年生の割合が非常に高かったです。当初の狙いでもあった、「就活に不安を抱えているけれど、キャリアセンターには近づきにくい」という学生が、ふらりと参加できるような雰囲気をつくれたのではないでしょうか。
——反応や反響はいかがでしたか?
桑崎:反響としていちばんわかりやすかったのは、運営Instagramのフォロワー数です。投稿するごとに少しずつ増えていくのがうれしく、活動に対して興味を持ってもらえているという実感がありました。
それから、私は自分が所属しているサークルや課外活動のグループに向けてジョブトークの告知をしていたんですが、それによって“就活のアドバイザーといえば桑崎さん”のように言ってくれる後輩が増えて。個人的に相談を受けたりすることも増えました。
古屋:私がいちばん印象的だったのは、最初は不安そうに入室してきた参加者が、イベントが終わったあとに残って話を聞いてくれていたことです。就活に対して少しでも前向きな気持ちになってくれたのかなと感じました。
運営メンバーのうち4人はデザイン系、2人はファイン系。私は油絵学科なので後者なのですが、デザイン系に比べるとファイン系は就活している人が少ないので、情報が比較的少なかったりするんです。ジョブトークにはファイン系の後輩がちらほら来ていて、その方たちの助けになれていたらうれしいです。
——参加者とのやりとりで印象に残っていることはありますか?
古屋:就活するにあたって多くの美大生が抱くのが、やりたいことを表現したり“好き”を突き詰めてきたこれまでの自分がなくなっちゃうんじゃないか、世の中の型にはまっちゃうんじゃないかという不安だと思うんです。実際に第6回の「質疑応答編」でもそういう質問が寄せられました。もちろん、社会に入っていくうえでできたほうがいいことはあるんですが、それはいままでの自分をなくして空いたところに入れるんじゃなくて、あくまでも自分が築いてきた礎の上に積みあげていくもの。そのことを、私はイベントを通して再実感できたので、みんなにもそう感じてもらえていたらいいなと思いました。
桑崎:私も同じようなことを思っていました。やっぱり、クリエイティブ系にいると、就活ってかなり悩ましいものだし、たぶんみんなそこに引っ掛かっているんだろうなと感じます。
あとは、たぶん多くの人が最初にぶつかるであろう、「自分のやりたいことがわからない」という悩みを持つ人が多かった印象です。だからこそ、「1、2年生のうちにやっておいたほうがいいことはなんですか?」という質問も多くありました。相談に乗っているなかで、就活にかぎらず、自分の好きなこと……どうしてそれが好きなのかとか、どういう人生を送ってなにをやっていきたいかを見つめ直すことって、すごく大事なことなんだと感じました。
——大変だったことや、苦労したことはありますか?
桑崎:やっぱり宣伝でしょうか。どうやってジョブトークの存在を知ってもらい、参加者を増やすかを考えるのが大変でした。2回にわたって開催したポートフォリオ編がすごく人気で参加者も多かったんですね。でもそのあとの「実践編」以降は内容が具体的で細かくなることもあって、思うように参加者数が伸びず……来年も実施するのであれば、そのあたりがもっとうまくできたらいいのかなと思いました。
来年に向けてもうひとつ、参加方法は課題になるかと思いました。今年は開催回によって対面だけでなくオンライン参加とアーカイブ視聴もできるようにしたのですが、それによって対面で参加する人数がぐっと減ってしまうことがあったんです。学生は忙しいからいろいろな参加方法があったほうがいいとは思うのですが、もったいないなと感じるところもあって。対面とオンライン、それぞれによさがあるので、ベストなやり方を考えていく必要があると思いました。
——参加してよかったなと感じたことはなんですか?
桑崎:就活をやってよかったと思えたことです。自分の就活を振り返るきっかけにもなって、あらためて自分の就活ストーリーが好きになりました。そして、こんな素敵な6人のメンバーと、舘野さんと一緒にイベントができて幸せだったし、出会えてよかったです。
ジョブトークの運営に参加したのは、お世話になったキャリアセンターに恩返しがしたいという思いがあったから。それぐらいキャリアセンターに通いつめてたくさん面談していただいたので、恩返しが少しでもできたのならよかったなと思います。
あと、これからの社会人生活がすごく楽しみになりました。就活中は内定をいただくことがゴールになっていたので、その先についてきちんと考える暇がなかったし、漠然とした不安を持っていたんですが、メンバーと話してるうちに、「仕事どんなことやるんだろうね」とワクワクする会話ができたりして、前向きな気持ちになりました。
古屋:このメンバーと一緒に活動できたことがいちばんです。みんなクリエイティブやプレゼンのスキルがすごいし、考え方もすばらしい。実際、大手に内定をもらっているのに、自分のことを必要以上に大きく言ったりしないんです。いろんな刺激をもらって、目前に控えている卒制や、社会に出てからの仕事を頑張らなきゃと思いました。こんな楽しそうに頑張っていいんだって思えることもすごく多くて、ほんとに、みんなが大好きです。
——今後の展望について教えてください。
舘野:未定ではありますが、来年もぜひジョブトークを開催したいと考えています。メンバーのみなさんは、いまは学内の内定者という立場ですが、卒業後はOBOGになります。ジョブトークにかぎらず、OBOGにお話しいただく就活イベントなどでまたご一緒できたらうれしいですね。
▼「ジョブトーク」運営Instagram
https://www.instagram.com/maujobtalk/